2002年度 日本史学演習(海老澤衷先生ゼミ) 活動記録


2001年度新入生歓迎旅行

年間の演習テーマ:荘園公領制の研究 ―伊賀国黒田荘史料の輪読―

 2001年度は、2000年度に引き続き東大寺領伊賀国黒田荘関係史料を輪読した。
 豊富な関係史料を残す黒田荘関係史料をもとに、中世村落論や悪党論、御家人制論や寺院組織論など、
その他さまざまな論点について活発な議論が行われた。

T.各回の担当者とテーマ

第0回(4月16日・守田)  研究史の概要と論点の整理
第1回(5月14日・守田)  黒田荘における荘官と在地構造
第2回(5月21日・西尾)  堂童子から公人への転生と徴税請負について
第3回(5月28日・徳永)  六波羅探題による検断沙汰訴訟処理
第4回(6月4日・坂口)   黒田荘の脇名・脇百姓について
第5回(6月11日・宮井)  東大寺領山城国賀茂荘悪党事件の概略
第6回(6月18日・河西)  東大寺の訴訟費用について
第7回(6月25日・堀)   悪党召し捕りの構造・悪党発生の実態について
第8回(7月2日・宮崎)   東大寺文書における「案」と「案文」
第9回(7月9日・下田)   正安年間の悪党関係訴訟について
第10回(10月1日・西尾)  売券成立についての一考察
第11回(10月15日・堀)   深野名事件の経過と若干の問題点
                 補足論点「黒田荘を取り巻く『みち』
第12回(10月22日・河西)  多武峰をめぐる紛争について
第13回(11月5日・宮井)  大和国鰹原村における黒田悪党乱入事件について
第14回(11月26日・坂口)  使節遵行について
第15回(12月10日・永田)  河上の「横行」について
第16回(1月21日・清水亮) 鎌倉末期伊賀国の地域権力と黒田「悪党」
第17回(1月28日・守田)  年間総括
  
U.主な討論内容と成果

 本年度のゼミ報告では、新たな事実の指摘などさまざまな論点が挙げられた。
 報告は「悪党」に関する考察が多く、村落秩序の変遷に注目して考察した守田報告(第1回報告)、研究史の理解に重きを置き、悪党の動向、訴訟制度を整理した徳永(第3回)・宮井(第4・13回)・坂口(第5・14回)・堀(第7回)・河西報告(第12回)があった。また、清水亮氏は地域権力との関連で「悪党」を捉え、「悪党」を取り巻く政治的状況をあきらかにした(第16回)。
 「悪党」に関する考察以外でも、寺院の経済活動の一端を担った公人(堂童子)の検討、料田制と寺僧の土地集積という観点から寺僧の動向を追求した西尾報告(第2・10回)や、訴訟費用徴収について考察した河西報告(第6回)、東大寺文書における「案文」と「土代」の腑分けを行った宮崎報告(第8回)、「みち」をテーマに黒田荘を取り巻く環境について考察を加えた堀報告(第11回)、畿内近郊の村落問題についての考察を行った永田報告(第15回)は、それぞれいずれも新たな指摘を伴った成果であった。
 また、関係史料の収集も大きな成果となった。


V.ゼミ合宿・行事の記録

6月2日〜3日   新入生歓迎合宿(茨城県立歴史館)
8月24日〜26日 夏季報告会(軽井沢追分セミナーハウス)
11月16日     和歌山県立博物館見学
3月18日〜20日 春季報告会(川奈セミナーハウス)
                                       (ゼミ幹事 守田逸人)

 

 

 


Copyright (C) 2003 EbisawaKenkyushitsu . All Rights Reserved