【2002年度ゼミの概要】
2002年度の海老澤ゼミでは、一昨年・昨年に引き続き、東大寺領伊賀国黒田荘関連 史料を取り扱った。当年度の特徴は、特に東大寺から流出した文書群を扱った点にある。
ゼミでは、各担当者で、
@担当文書の翻刻・校訂
・前期・後期前半
…東大寺図書館以外の個人・機関で所蔵されている文書の内、一部を翻刻・校訂
・後期後半
…東大寺図書館所蔵文書の内、『鎌倉遺文』、『大日本古文書』などの活字史料集で翻刻されていない文書の内、一部を翻刻
A考察 翻刻作業を通じて、黒田荘・東大寺文書についての新たな論点を提示
の2点を行ってもらった。
【ゼミの成果】
1、翻刻・校訂
黒田荘関連史料100通を翻刻・校訂
2、考察
黒田荘に直接関わる問題としては、
@鎌倉時代・東大寺による黒田荘の荘園・散在所領支配に関するもの
A鎌倉後期から南北朝期・悪党問題に関するもの
B平安期から鎌倉前期・国家行事用途の賦課と免除の問題
C平安期の私領主権に関するもの
・・・などが論点となった。
また、黒田荘とは直接関連しないながら、
D治承寿永内乱期の北伊賀の情勢
E鎌倉末期・東大寺による兵庫関支配
・・・についての論点も提示された。
【ゼミ行事】
2002年
5月13日・20日 修士課程入学者の卒論報告
5月26日〜27日 新入生歓迎合宿(鎌倉・六浦見学)
8月28日〜30日 夏合宿(軽井沢追分セミナーハウス)
11月18日 早稲田大学所蔵文書の見学会
2003年
1月8日 東大寺図書館の横内裕人氏をお招きして、早稲田大学所蔵文書を見学
*東大寺・興福寺関係史料を中心として横内氏にご教示いただいた。
3月19日・20日 博士後期課程研究報告セミナー
*このほかゼミ自体とは異なる場であるが、6月22日、第八十二回鎌倉遺文研究会における畠山聡氏のご報告は、東大寺図書館所蔵聖教類紙背に見える伊賀国東大寺領関連文書を紹介されたものであった。その内容は、ゼミと直接関連するものであり、大いに勉強させていただいた。
(ゼミ幹事 西尾知己)
【海老澤のコメント】
この年度から科学研究費調査「東アジアにおける水田形成および水稲文化の研究(日本を中心として)」(基盤研究B、2年間)が開始された。
また、11月から21世紀COEプログラムによるアジア地域文化研究センターが発足し、水稲文化研究所(所長海老澤)はその一翼を担うことになった。これらの研究は、対馬とバリ島をフィールドとするものである。
2003年3月11日 バリ島ウブド近郊の村落調査
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