2002年度 日本史学演習(海老澤衷先生ゼミ) 活動記録


2003年5月12日。対馬厳原町豆酘にて。

【2003年度ゼミの概要】

今年度は、先行して行われていた現地調査(科研・21世紀COE)とリンクさせる形で、対馬がテーマとなった。ゼミの成果と調査成果との相互作用や、10月に開催されたシンポジウム(水稲文化研究所主催)での報告へのバックアップなどを念頭においてゼミが進められた。ゼミの成果は、2004年3月付で刊行予定の科研報告書『東アジアにおける水田形成および水稲文化の研究(日本を中心として)』としても結実した。

【報告の方法・内容】

 @ 現地調査への参加と成果のまとめ。
 A 豆酘(つつ)地域を対象とした報告。多様な素材・視角・方法によって豆酘の歴史へアプローチする。
 B 報告者がとりあげた中世文書について、その文書(群)の古文書学的検討を前提として解釈を施す。論点を見いだし、中世対馬に関する考察を行う。

 以上をふまえて、日本さらには東アジアにおける対馬の位置について理解を深める。そして逆に、対馬からみた日本中世社会について理解を深めることが目標となった。

【ゼミの成果】



【総括】

 本年度の海老澤ゼミは、例年の、特定の史料群を指定し輪読するというスタイルとは異なり、誰もが未知の領域であった“中世対馬”をテーマとして取り組んだ。当初は不安もあったが、5月の対馬調査に修士課程の皆さんを中心に多くの参加者を得て、対馬・豆酘というフィールドに大いなる関心を寄せてもらえたことがゼミの結束力を生んだ。
 ゼミの成果は大きく以下の5つに分類できる。
 @調査成果と直結した報告および考察、A史料論、B中世文書の紹介及び読解に基づく考察(大山小田文書・金剛院文書・内山文書)、C学際的な方法を志向した考察、D10/25シンポジウム報告に直結する準備報告、である。
 ゼミの成果は、具体的にはまず10/25水稲文化研究所シンポジウムでの黒田報告に帰結した。黒田報告はその後、12/14COE国際シンポジウムにおいても海老澤報告において紹介され、現地調査成果を可視的に示すことができた。
 シンポジウム報告とともに、ゼミおよび調査の成果は科研報告書としても結実する予定である。また、ゼミの後半で取り組んだ内山文書については、中世史ゼミ名義で資料集の作成を計画している。
 以上のように、2003年度のゼミは、シンポジウムおよび科研報告書という具体的な成果公表の場を持つことができた。また、現地調査の経験があまりない修士課程生が調査に参加することができ、その上で関連資料を利用して研究方法を学ぶ、という理想的な形態をとることができた。
 なお、ゲストスピーカーとして6/2には関周一氏、10/27には本田佳奈氏のご参加を得た。この場をお借りしてお礼申し上げたい。

【ゼミ行事】

2003年
 4月21・28日 修士課程入学者の卒論報告
 5月10〜12日 新入生歓迎合宿(対馬)
 8月28〜30日 夏季報告会・博士後期課程研究報告セミナー(追分セミナーハウスにて合宿)
 11月10日  早稲田大学所蔵文書の見学会(中央図書館)
2004年
 3月17・18日 春季報告会・博士後期課程研究報告セミナー

                                          (ゼミ幹事 堀 祥岳)

 

 


Copyright (C) 2003 EbisawaKenkyushitsu . All Rights Reserved